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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その40 [小説]

「衝撃波!? 輸送機!? 敵の援軍っ!? そんな…」
「萌、落ち着いてっ! 音速を超える輸送機なんて…
あっ…識別信号…これは…ロシアの弾道飛行艇……」
(ロシアと言えばオーソドクス教会の牙城…)
華子がデータベースとの照合で敵の援軍だと確信したとき、
無線が電波を受信した。
『ザッ――…こちら弾正尹 ( だんじょうのかみ ) …須野…繪、
みんな待た…て…めん! …今帰ったよっ!!』
という結繪の声が無線から聞こえてくる。
「あっ…」
『そこのじいさんたち!
留守中に好きにやってくれたみたいだけど、
きっちりお返しさせてもらうからねっ!』
マッハ2で降下してきたコスモポリス35が
逆噴射をかけて更に減速する。
高度3000メートルでドアを開けた結繪は
稲村ガ崎要塞に向けてダイブすると、
数人がそれに続いた。
140201j1 のコピー.jpg
パラシュートもつけずに一気に地上を目指した結繪を、
地上すれすれのところで葛葉が捕まえると、
稲村ガ崎の砂浜にそっと下ろした。
その上空に、
結繪たちといっしょに
幽冥世(かくりよ)に行っていた面々のものらしいパラシュートが
次々と開いていく。
「萌、ご苦労様!
あとは引き受けたから、傷の手当を!
じゃあみんな、一気に押し返そうか」
と叫んだ結繪は、
ワシントンに向かって砂浜を蹴った。

つづく
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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その41 [小説]

白波を蹴立てて
ワシントンに肉薄した結繪が
愛刀・子狐丸を一閃させる。
その刹那(せつな)、
ワシントンが爪で受け止めた、
ガキンッという金属音が周囲に響きわたる。
その反動を利用して高く飛び上がった結繪を
葛葉が空中でキャッチする。
「結繪かっ!?
幽冥世(かくりよ)に行っていた主力が
戻ってきたのか!? --して首尾は?」
と言った華子は、
口に出したことを後悔するかのように
ちっと舌打ちした。
「どうしたのですか?」
装甲の隙間とモニタから目を離さず
何かあれば蓮華王で飛び出す構えの萌が
華子の舌打ちを理由を問いただした。
「上首尾なら、結界が再び張られよう。
しかしそんな気配はみじんもない…」
「………」
作戦の根幹が失敗に終わった今、
やはり戦術上での勝利を掴んで
交渉材料にするしかない…。
思い詰めた萌が蓮華王を前進させはじめる。
『萌っ! 大丈夫か!
戦(いくさ)の様子は録画を3倍速で見たぞ!
蓮華王とやらはボロボロだが、
お主は無事なんだなっ!?』
無線機から検非違使頭(けびいしのとう)・飛鳥薫子の声が聞こえてくる。
「薫子さまっ!」
『おお、萌! 息災でなによりじゃ。
管狐どもにより鎌倉の制空権は回復した。
藤沢から列車砲を引き込むのに
江ノ電を複線化するのに手間取ったが突貫工事でなんとかしたぞ!』
「お怪我のほうは…」
『かすり傷じゃ! 
これより江ノ電列車砲による地対艦攻撃を開始する。
すぐさま蓮華王を止めるのだ。よいなっ!』
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「よかった。薫子さま、無事だった…」
そう呟いた萌は、緊張が解けたのか眠りに落ちていく。
「萌っ! 衛生兵! 蓮華王パイロット
桂木中尉(かつらぎのちゅうい)萌の救護を要請する。
現在レベル3だが、こちらでは止血できない為危険な状況だ--」
『了解した。できるだけ…』
通信音を遮るように、
旧ドイツの80cm列車砲ドーラを改良した江ノ電列車砲の轟音が響き渡った。

つづく
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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その42 [小説]

ドーラの問題点だった砲弾装填速度を改良し、
連続発射が可能になった列車砲の砲口から
絶え間なく砲弾が射出され、
すでに数隻の敵艦船が黒煙と炎を吹き上げていた。
「おとなしく艦隊を引いたらどう?
これ以上被害を増やすこともないでしょ?」
結絵が刀を握る手に力を込めると、
それに気付いた葛葉が結繪を抱きとめていた手を放した。
空中で放り出された結絵が再びワシントンめがけて急降下する。
その最中、結繪の頭から耳が生えてくる。
10年前、ユダとの戦いで葛葉たちと合体した結繪が
お互いの体細胞を交換したことで、
一時的に葛葉たちと同じ能力を使えるようになっていた。
しかし、数日間で結繪の耳が消えてしまうと、
その能力も失われてしまい、
ずっと発現していなかった.
その力が今この状況で発現していた。
勢いのままワシントンに一太刀浴びせると、
そのまま空中にとどまった結絵自信がその状況に一瞬とまどう。
結繪を受け止めようと接近してきていた葛葉から、
「耳が生えてるのです。
理由はわからないですが、
能力が戻ってるみたいなのです」
と告げられると、三度攻勢をかける。
「理由は分からなくても
使える力はなんでも使うよ!」
稲荷神の霊力のこもった結繪の愛刀・子狐丸で断続的に斬りつけられ、
さそがのワシントンも思わず一歩後退した。
「これ以上の侵攻は絶対に許さないっ!」
青眼に構え直した結絵がワシントンに宣言する。
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「何を生意気な。
そう言ったところで、
こちらの有利は1ミリたりとも揺らがんのだ!」
そう言ってせせら笑うワシントンだったが、
「それはどうかな?」
という声が七里ヶ浜から殷々と響き渡った。

つづく
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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その43 [小説]

「三狼!」
稲村ガ崎の西に広がる
七里ガ浜の砂の上に
しめ縄でぐるぐる巻きにされたルーズベルトが
ベタベタと稲生を封じるお札を貼られまくって転がっている。
「上陸部隊はあらかた片付いた」
と叫ぶ三狼(さぶろう)の隣にはタチアナ、
そしてその背後の護岸堤の上には、
ふたりの配下、狼部とヴォスネンスキー鬼兵団の猛者たちが
ずらりと並んでいる。
「ルーズベルト--ッ!
きさまぁ………、
このマウントラシュモア5の面汚しめッ!」
顔を真っ赤にして怒ったワシントンが、
七里ヶ浜に向かおうとするのに
頭上から結繪が斬りかかる。
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「言ったでしょ? これ以上の侵攻はさせないって」
反射的に指揮杖で受けたままワシントンの顔色が急に冷めていく。
「--私としたことが思わず熱くなってしまったな…」
そう呟いたワシントンの姿が一瞬かき消えたかと思うと、
稲村が崎要塞の脇で萌の救助作業をしている蓮華王のコクピット付近に姿を現す。
作業員を突き飛ばすと、
乗っていた萌を引きずりだし、
その首に腕を回してネックロックをかけてしまう。
「どうだ、これで再び形成逆転というわけだな?」

つづく
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