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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その34 [小説]

ついに裂け目から押し入ってきたルーズベルトは、
萌の首に手をかけて、
「もはや貴様たちに勝機などない。
即座に抵抗をやめ、
我らの神の軍勢の軍門に下るがいい」
と言い放った。
「ふ…ふざけないでっ!」
ふるふると振るえながら、
「あなたたちが神の名のもとに行ったことは
言いがかりをつけて戦争をしかけ、
罪もない人たちを大勢殺して…」
と言うと、首を押さえつけている手を振り払ってシートをリクライニングさせた。
仰け反ったまま、目にも留まらない速さで
太ももに付けたホルスターからグロッグを抜くと、
ルーズベルトのサイドに入り込みながら安全装置をはずし、
その顎の下に銃口を突きつけた。
131102j1 のコピー.jpg
「…貴様…」
「この銃の弾丸は
ミスリルではなくヒヒイロカネです。
あなたがいかに不死に近いとはいえ、
この距離で撃てば、
再生するのに相当な痛みと時間がかかるでしょうね」
呻くルーズベルトに、
「人に何かを強制する神様なんていらない――
まして私の大切な人を傷つける神様なんて、
ぜったいに認めない」
と言ってコクピットの外に出るように促す。
「――私たちの神様は
私たちひとりひとりの
心の中にいますっ!」
「罰当たりめが…
わかった、では構わんからワシを撃て」
苦虫を噛み潰したような顔で
ルーズベルトが萌に言い放った。

つづく

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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その35 [小説]

「華子さん!?」
華子の姿が見えないことに気付いた萌が
周囲を見回すと、
「私は大丈夫……。今のでフォログラムが故障したみたい…」
ほっとした萌が、
「よかった。
でもモニタがこれじゃ、
外の様子が掴めないのです…」
と飛び散った破片を片付けながら言うと、
華子は、全方位モニタの代わりに
空中投影型のオプチカルモニターを
コクピット前面に何枚かポップアップさせた。
周囲の様子を映し出されると、
休憩でも取るつもりか、
ルーズベルトが葉巻に火をつけているところだった。
131112i1 のコピー.jpg
その背後の腰越あたりで、
何かチカチカと光るものが見える。
猛烈に切りかかる逸鬼が
ワシントンにいなされて、
肩で息をしているのがズームされた。
「--萌、このままじゃ、あの連中に勝てない。
これをすると、
依童(よりわら)体質になっちゃうらしいので、
あんまりやりたくないんだけど、
『憑依操縦システム』を使えば、
もっとダイレクトに蓮華王を操縦できる…。
そうすれば少しは勝機が…」
そのシステムが飛鳥ソフトウェアリングで開発していたのは
薫子に報告が上がっていたので萌もある程度は知っている。
鉄観音を自動操縦するための霊的OSが
操縦者に憑依することで
操縦者は思考するだけで鉄観音を動かすことができるというシステムだ。
ただそれを使った操縦者は、
霊的感覚が研ぎ済まされ、
近辺を漂っている霊的なものを引き寄せ易く
なってしまうケースがあると報告書に書いてあった。
実用までにはその副作用的な障害を取り除く筈だったが、
それが今時の反攻作戦を前に鉄観音は実装されていたらしい。
蓮華王のプログラムにもそれは引き継がれており、
障害を承知で華子が薦めてきたということは
それ以外の万策は尽きているということを意味している。

つづく
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