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「二楽亭へようこそ」その20 [小説]

第5章 その3

どのぐらい時間がたったのだろう。
気がつくと、横になっていた私。
遠目に曼珠沙華(まんじゅしゃげ)の赤い花々が目に飛び込んできた。
0112.JPG
別名狐花-キツネバナ-。
球根に毒はあるけど、
私はこの、はかなげで綺麗な色をした花が好き。
何時の間に連れて来られたのか、
池の向こう側には二楽亭が見えている。
そっちの方から、プリキョアの曲がかすかに聞こえてくる。
葛葉ねえさまたちのカラオケは、
魔法少女ループに入ったみたい。
音音、今晩徹夜は決定かな。
って、ミョーに寝心地良い枕の上で思う。
ん? けど、ココどこ?
ガバッと起き上がると、
私の上に掛けられていた学制服が、
ばさっと音を立てて下の芝の上に落ちた。
え? 自分のおへそが見えるってことは…
まだ貝ブラコスのままっ!?
「きゃぁあ」
思わず声を上げる私に
「起きた? もう大丈夫か?」
そう声を掛けてきたのは三狼だった。
どうやら私に膝枕してくれてたらしい。
三狼って、物静かだし、
自己主張もあんまりしないので、
大人しいイメージがあったけど、
ディアボロに感染してから、
なんか少し男らしくなってきた感じがする。
「急に倒れたからびっくりした。
未成年なんだから、お酒飲んじゃだめだ」
「好きで飲んだんじゃないもんっ!」
ズキ―――っん!
大声を出すと頭が痛い…。
こ、これが噂に聞く二日酔い?
まだ二日たってないんですけど…。
頭の回りで、ズキズキズキズキという効果音が
回っているような感じがする…。
「大丈夫?」
「ぜんぜん大丈夫じゃない…。
二狼にいさまのお膳のコップの中身がお酒で、
間違って飲んじゃったんだもん…。
でなきゃ誰があんな不味いもの……。
でも、膝枕してくれてたんだよね」
「……うん」
「うっ…あ、ありがと…」
「ああ。冷たい水もらってくる」
「…ま、待って」
そう言って、立ち上がった三狼の手を
反射的に掴んでしまった私。
「…あの…その…最近あんまり話せないし、だから、えーと…」
(私、何したいの? なんで三狼を引き留めたの? 
私……まだ酔ってる…? ううん、もうお酒は残ってない
……ホントは私…)
結繪人魚1.JPG
沈黙の中、風に揺れる草の葉音だけが響いてる…。

第6章につづく
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