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二楽亭へようこそ![されどバナナ、なれどバナナ その10 [小説]

第10話

「いやー、
連絡できず申し訳ございませんでした…」
スタジアムではスィーツ勝負が白熱するなか、
オオゼキから音音へ状況報告がなされていた。
「敖環姫(ごうかんひめ)に助けて貰ったまでは良かったんですが、
襲ってきた連中は、
なんかすごい数の船を動員してて海上封鎖されちまって…。
仕方ないんで海中をずっと送って貰ったんですが、
海中だとスマホのタッチパネルがきかない上に、
途中で深く潜りすぎたみたいで陸(おか)に上がっても連絡できなくて…」
「仕方ないのですわ」
オオゼキは、
以前音音がしでかした、
タコ入道騒動の時に懇意になった、
南海竜王の娘・敖環姫とときどき会う中になっていて、
万が一のことを考えて熱海沖合で待機してもらっていた彼女と
その郎党の人魚たちに救われたいきさつと、
予定していた小田原に姿を見せなかった理由を音音に報告した。
「無事に責務を果せて何よりですわ。
この勝負が終わったら、
特上のブルームきゅうりとお酒を届けさせますから、
楽しみにするのですわ」
「そりゃありがてぇ」
「きゅうりはいらねえけど、
おいらもお酒は欲しいなぁ」
そう言いながら現れたのはムジナ。
気配もなく現れたので、
ぎょっとするオオゼキたちをよそに、
「情報次第ですわ」
と涼し気に音音に言われて、
「金の出どころがわかりやしたよ。
それがなんとまあ、ナウマン博士なんですよ」
と答えた。
「ナウマンっ! あの像のナウマン博士か!」
「なんでもナウマン像と恐竜のテーマパークが大当たりで、
相当蓄財してるようでやす」
さすがの音音も驚いたようで、
一瞬言葉に詰まったがぽつぽつと話し出した。
「ナウマン…おばあさま、いいえ、
先代の弾正尹(だんじょうのかみ)も苦戦を強いられたシーボルトの助手…。
ドイツ・ドレスデン東亜博物学・民俗学協会での講演の際に、
日本人の無知、無能ぶりを嘲笑したと言われる
あの男が背後にいるとなると、
第二契約者の日の本での動きが、
再び活発になると思わざるを得ませんわ」
「ナウマン博士からは<禁断バナナ>をチェーン展開しろと
言われてるみたいですが、
目が行き届かなくなるのを嫌ったクラーク博士は、
あんまり乗り気じゃないみたいですね」
「では、今回の対決はどうして受けたのでしょう?」
「道楽グループの品質管理にも
興味はあったんでしょうが、
それ以上にナウマンに対するポーズも必要だったんじゃ
ないでしょうかね?」
「オオゼキ襲撃については?」
立て続けの音音の質問にも、
きちんと調べてあるらしく、
狢は滞ることなく答えていく。
「それも<禁断バナナ>での人員の移動とかがないことを考えると、
やはりナウマン配下の動きだと思われやすね。
では姐さん、引き続き調査を続行しやす」
「頼みます。
ちゃんとお酒はとどけさせますから
思う存分情報をあつめるのですわ」
「合点承知の助だっ!」
報酬に満足した狢は、いさんでスタジアムを抜け出していった。

つづく
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