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「二楽亭へようこそ!」その84 第8話 「二楽亭へようこそ!」その19 [小説]

「ぎゃっ」
狢の短い悲鳴が響き、狢とナドワの妖がはじき飛ばされる。
肩で大きく息をしながら、はき出すようにユダが呻く。
「――ぐうぅ…なんなんだこの気の大きさは…。
弾正尹と姿は変わらないというのに!
格が違うとでも言うのか!?」
ユダが気おされるもの無理はない。
私たち=人とあやかしの融合体は、
いままで感じたこともないほどの大きな気を放っている。
ユダの反応からすると、
私の姿は多分変わってない。
だけど私の中にねえさまたちがいるのが分かる。
そしてその気が不思議なほどたかまっている。
これほどの気だと、勘のするどい人なら
日本のどこにいても私たちの存在を感じ取れるレベルかも…。
「はっ……はは…は………。オレがずっと待ち望み
二千年ものあいだ画策したことはすべて無駄なのか…。
神の子さえ欺いたこの俺が、こんな極東で終焉を迎えるのか…」
気圧されうなだれるユダ--。
110527yuda.jpg
これまで逆らうものは力で押さえつけてきただけに、
逆の立場になった今、その絶望感は計り知れないものがあるんだろう。
「力の違いはあきらかだよ。もうあきらめて投降してっ!」
別にユダを消したいわけじゃない、ユダが投降してくれるのなら――
それは私たち4人の総意だった。
「………何をいまさら………。私にもう後はない――!! 
神になれないなら死ぬだけだっ!!」
そう叫んだユダは、特異点回廊の入り口で魔方陣を展開した。
『それは回廊解放の術式――!!』
静葉ねえさまの驚いた声は反射的に私を動かす。
でも、ユダに肉薄しようとした私たちは、その魔法陣に行く手を阻まれた。
『まさか! そんなことしたら地球が飲み込まれてしまうのです!!』
葛葉ねえさまの声にならない叫びが頭にひびき、
静葉ねえさまの思考が流れこんでくる。
『重力の井戸が解放される……』
重力の井戸って…私の疑問に瑞葉が、
『miniブラックホールなのです』
と教えてくれる。
え? miniブラックホール??
特異点を支えてる力の源ってブラックホールなの!?
『私たちのご先祖さまが作り出した、今は失われてしまった技術なのです』
ユダはそれを解き放とうとしてる…?
そんなことしたら地球が飲み込まれちゃうじゃない!?
「…もうすべてを終わりにしようではないか--」
特異点の入り口が黒くぽっかりと穴を開けたようになる。
「私の自由にならんこんな世界など私が壊してやる。
丸ごと飲み込まれてしまえばいいのだ」
そう叫び声を残してユダが回廊に飲み込まれていった。

その20につづく
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