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「二楽亭へようこそ!」その81 第8話 「二楽亭へようこそ!」その16 [小説]

そしてその靄が消えていくと、
葛葉ねえさまと静葉ねえさまに似た美女が立っていた。
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「ねえさま…」
「だ、妲己………」
冷や汗をかき、声が上ずった声でユダが吐き出すように呻(うめ)く。
中国では3000年もの昔、
蘇侯(そこう)の娘として殷(いん)の紂王(ちゅうおう)の后となり、
酒をそそいで池をつくり、肉を掛けた林を築いた宴を催させ、
賢臣を廃して、民を苦しめ、
ついには王朝を滅ぼした妲己。
日本に渡ったあとは、王朝に災いをもたらした上、
正体が見破られ討ち取られると、那須の地で殺生石に変じて
玄翁和尚に砕かれるまで周囲の人々を恐怖させた伝説の悪狐…。
ユダが異様な霊気に気圧されているのは、私が見ても明らかだ。
ねえさま、本当に悪狐になってしまったの?
「妲己よ…私とともにこの世を支配しようではないか」
苦し紛れとも思われることをユダが呟く。
「んん---? ……おまえは…確か我と同じ遣唐使船で…
鑑真と…呼ばれていた--」
ユダを見つめ、暫く考え込んでいた風だった妲己だったが、
「--ああ、思い出した。
鑑真に化けていたあやかし。あれから幾年たったものか」
じっとりとユダをねめつけていたが、うっそりと呟く。
「だがまあよかろう。この時代の右も左もようわからんからのう。
今はお主の話に乗ってみようぞ。
--われらあやかしに比べて、
命は短いが無尽蔵に増えていく人という存在は
ひとりで支配するにいはいかにもやっかいじゃ。
我も玉藻の前のおりにはしくじったが、
今度はおまえとともにこの日ノ本を支配してくれよう」
最悪の展開……。
葛葉ねえさまたちの最後の手段だったのに…。
こうなったら、葛葉ねえさまの命に従い、妲己だけでも倒して、
そのあとはQちゃんたち残った人たちと残存した幽冥世のあやかしたちに頼るしかない。
覚悟を決め、子狐丸を妲己の心臓に突き立てるために
感覚が戻ってきた足に力を溜め込む。
ねえさま、現世は守れないかもしれないけど、
妲己を幽冥世には行かせないよ。

その17につづく
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moe

yu-papaさん おはようございます。
ご訪問& nice! ありがとうございます♪
by moe (2011-05-09 05:13) 

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