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「二楽亭へようこそ!」その73 第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦その8 [小説]

「な、なんとっ! 本当かっ!?」
「ええ。--子狐丸っ!」
葛葉ねえさまがそう叫ぶと、
私の刀身に象嵌(ぞうがん)された狐の瞳が
赤く輝き始める。
「霊的因子に揺らぎが見えるのです。
たぶんあなたが言っていた第13因子。
そこを取り去れば、あなたの魂は解放されるはずなのです」
「そうか…で、あればそれを…」
ピラトが言いかけると、西御門の裏、大平山の方から
異様な霊力の高まりが伝わってくる。
「なにこれ?」
「まさか鑑真…?」
はっと、そちらを振り向く私と葛葉ねえさまに、
「ははっ、彼は鑑真なんかじゃない。
今頃アソコであいつは神の子を名乗っているだろうけどね」
「神の子って、まさかナザレの預言者…
かの者は別次元に移行したはず。
あれ以来神やアイオーンたちは現世には干渉しないと決めたはずなのです…。
それなのに、今またここに顕現(けんげん)したというのですか?」
葛葉ねえさまが驚きを隠せずに呻(うめ)くのを、
ピラトが笑いながら否定した。
「いいや、断じて違う。
神の子の処刑を命じた私ピラトが言うのだから間違いはない。
あいつは、神を裏切った男、ユダだよ。
人でも神でも悪魔でもなくあやかしだ。
ただしとんでもなく強力な--ね。
鑑真に化けたのは、
ファーストとセカンドからの追っ手を避けて
日本に入りたかったからに過ぎない。
盲目を装ったのも、人に化けても目の色が東洋人とは違うので、
仕方なく閉じてただけさ」
そこにどこからか小さなつぶてが飛んできて小太郎に当たり仰け反る。
「ぐあぁぁっ!」
しまったという顔をしたねえさまが、
急いで結界を張る。
110308kuzuhaj1.jpg
ピラトは自分の腕にめり込んだものを無理矢理取り出すと、
「…救世主を売った対価シュケル銀貨…。
まったくもってヤツらしい――。
ユダめ…余計なことをしゃべるなというわけか…」
血みどろの昔のコインみたいなものを握りしめて
ピラトがつぶやく。
「だが、こうまでされて、
ヤツの思惑通りになどなるものか。
今生こそ、開放されて…。
くそ、ヤツさえ倒せば…」
そう悔しがる表情は本当に悔しそうで嘘とは思えない。
でも罠の可能性もある。
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