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「二楽亭へようこそ!」その68 第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦 その3 [小説]

音音たちと一緒に行ったハズの烏部司(うべのつかさ)
熊野小太郎が目の前にいた。
「小太郎、どうしてここに?」
音音が援軍を送ってくれたの?
そんな甘い考えは小太郎のひと言で簡単に否定された。
「--ボクはもともとオーソドクスの人間なんですよ」
「――小太郎…何、言ってるの…?」
まさか…でも、熊野家はその名の通り
熊野権現の御使い鴉に祝福された家だよ。
烏部司が……裏切るなんてこと……。
「ウチの教主鑑真が渡来するときに、
ボクもあの船にいっしょに乗っていたんですよ。
葛葉様もあの船で日本にきたんでしょう?」
「あの遣唐使船に乗っていたのは、
私ではありません。母なのです………」
ふたりはいったい何の話をしてるの?
「まあ、そんなことはどうでもいい。
我々は1200年もかけて準備してきたんですから、
失敗するわけにはいかないんですよ。
そのためにはおふたりは邪魔というわけですよ」
「…とはいえ小太郎、
今回のこと烏部の総意ではないようですね--」
葛葉ねえさまが静かな怒気を含んだ声で小太郎に聞く。
「残念ながら…。その代わり、
新しいボクの配下はなんでも言うことを聞いてくれますよ」
そう言い終わらないうちに、小太郎の背後から
鬼たちが姿を現わす。
「弾正府でも一二を争う実力を持つそなたが…残念なのです」
くすっと笑いながら、
「この鬼どもを銭洗い弁天に封じ込めておいて」
110206.jpg
と誰に言うともなく言うと、いつの間現れたのか、
無数の狐たちが鬼の中に吸い込まれていき、
鬼達は踵(きびす)を返して銭洗い弁天のある方へ
歩き始める。
「あ~あ、ボクの配下が…。
佐助の狐ですか…
眷属(けんぞく)を憑依させるなんて
そんなこともできるんですねぇ…。
まあ、鬼が居なくてもね--タチアナ、さあ今ですよ!」
小太郎が声を投げかけた方を向くと
地を這うようにタチアナが疾走してくる。
その後ろには彼女の配下ヴォスネンスキー鬼兵団が
ウラーウラーと不気味な叫び声を上げなから続く。
タチアナが一番後ろでけん制していた三狼に近づくと
サーベルを抜いて切りかかる。
漸馬刀でサーベルを受け止めたものの
三狼がタチアナに押されている!?
三狼の両腕が鬼化してなんとか力の均衡を保つ。
鬼化ウィルスの力で、普通の人とは比較にならないほどの力を発揮できる三狼が押される理由、
タチアナもディアボロに感染してるんだ…。
「あら、レトロ鬼化ウィルスの割りにがんばるじゃない?
でも、遺伝子工学の粋(すい)を集めた
私のディアボロはのポテンシャルは
ちょっと高いわよ」
そう言いながら、サーベルをぐいぐいと三狼の方へ押してくる。
たまりかねた三狼が全身鬼に代わっていく。
「一方に気を取られていると危ないですよ」
ぞくっとイヤな気を感じて、刀の鞘を盾のようにかざすと、
そこに、先が刃物のようになっている鴉の羽が突き刺さる。
「小太郎、武器を棄てて。
私が弾正尹になってから1年だけど、
小学校時代からずっと同じ学園にいて
遊んで、ケンカして、いろんな話して…、
友達だと思っていたのは私だけなの…?」
複雑な思いを抱えたまま、小太郎に投降を進める。
「いえいえ、ボクもボク自身のことに気づいたのは
去年になってからですよ。
それまでは、間違いなく熊野小太郎でした--」
「こた…ろ…う…?」
何を言ってるの? 
「まさか自分に
第13因子なんていうもので
他人の記憶が封じ込められているなんて
小太郎はこれっぽっちも思ってなかったでしょうね」
「じゃあ、今のお前は…もう--」
「今の私はピラト…神の子を殺した男だ…」

その4につづく
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