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「二楽亭へようこそ!」その67 第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦 その1 [小説]

「あの人数に直接当たっても、
鬼化した民間人に被害者が増えるだけで、
連中は痛くも痒くもありませんわ」
首魁鑑真に率いられた
オーソドクス極東教会の侵攻速度は想像以上に速い。
弾正府の司令部では、
緊急のブリーフィングが開かれ、
作戦の立案者音音による説明が行われていた。
「すでに鬼化した市民は5000人を超え、
ここ弾正府に殺到するころには3万人を超えているはずですわ」
「それを弾正府だけで迎撃するのか…」
「京の陰陽寮からの援軍は、
中部方面航空隊のヘリを使っても
最低12時間はかかるということだ」
弾正府の上位組織でもある
陰陽寮との折衝に当たっているQちゃんが
絶望的な状況を説明する。
「それなのに鬼たちに致命傷を負わすことは
できないんだよ…」
蜂部司・二荒大己(ふたらたいき)が難しい顔でつぶやく。
そう、先鋒は鬼とはいえ何の罪もない一般市民。
いくら凶暴な鬼になっていても、
殺すなんてことはできない…。
鬼化ウィルス=ディアボロを無効にするワクチンは先日完成し、
弾正府では摂取を終えていたが、
一般用は培養中でまだ数が足りない。
どう考えても普通に勝てる戦いじゃない…。
(敵中枢への奇襲しかない--)
だけど私が思いつくようなことであれば、
当然極東教会の方でも警戒しているに違いない。
それをかいくぐって鑑真に肉薄する方法--
音音はどんな作戦を…。
十三部衆の面々も音音の次の言葉を固唾をのんで
待っている。
「--はっきり申し上げて、勝算はゼロですわ。
したがって、現時点をもって弾正府を放棄、
司令部を藤沢のasuka本社に移動。
以降は宮本鳩太郎が
弾正尹である結繪ちゃんと
検非違使別当飛鳥薫子殿の名代として
両軍団の指揮をとり、鎌倉を封鎖します。
宮本以外の十三部衆の司(つかさ)と
佐(すけ=副官)は
私たちと行動をともにしていただきます」
「やっぱり奇襲か?」
「腕がなるぜ」
血気さかんな虎部や主鷹部から声が上がるが、
音音が否定する。
「いいえ、私たちは幽冥世(かくりよ)に向かいます」
「何?」
「!?」
「なんだって!?」
弾正府の放棄にも驚かなかった一同が思いもしなかった選択肢にどよめく。
音音は説明を続ける。
「ここでどうがんばったところで、
連中の狙いは幽冥世ですわ。
幽冥世を支配することで、
現世をも支配するつもりなのですから。
であれば、向こうの戦力を糾合(きゅうごう)して、
狭い特異点から敵が出てくるところを迎撃するのが
兵法に哉っていますわ」
「でも音音、鬼化してない市民はどうするの?」
「……それは…」
ディアボロが発症して鬼化してる人は
他の鬼に襲われないけど、
発症しない普通の人は、鬼たちにより危害を加えられる可能性が高い。
「音音たちは、幽冥世へ行って!
あちらなら、葛葉ねえさまたちと同じぐらいの
力をもった神さまやあやかしさんたちがいるから、
私ひとりが行かなくても大丈夫でしょ?
指揮は音音が取って。
勝手かもしれないけど、私は旧市内に残って
発症していない人たちを安全な場所に誘導する」
110123結繪2.jpg
「結繪ちゃん…」
私の大好きな鎌倉を蹂躙(じゅうりん)されるのもイヤだけど、
それ以上に、そこに住む人たちが傷つけられるのを見たくない。
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