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「二楽亭へようこそ!」その64 第7話 「決戦前夜」第2章「ネゴシエーション」その2 [小説]

予定通り…か。
全車急停止して、要撃要員が銃を抜いて降車する。
「どうせAOC(アメリカオーソドクスチャーチ)の
教父アレイオウスあたりだろう。
だが、この辺りは第一契約者の仕切りだ。
ジ・オンリーがこの襲撃を黙認するというなら重大な協定違反だな。
防衛省・宇宙開発利用推進委員に通達、『暁三号』作戦始動」
説明くさいが、書記に状況を記録させるためにワザと口に出す。
「防衛省・宇宙開発利用推進委員に『暁三号』作戦始動を通達」
同乗の通信仕官が復唱し、委員会へ連絡する。
暁三号作戦は、同時に複数の老朽化した人工衛星を落下させ、
南米のコカイン畑を焼き払うというかなり強引な作戦だ。
外ではパンパンという発砲音が響いているが、
気にせずローゼンバーグに電話を入れる。
「ああ、ミスターローゼンバーグ。飛鳥だ。
今、ローワーイーストサイドの外れなんだが、
正体不明の連中から襲撃を受けている。
ここはジ・オンリー(そちら)の管理下だ。
少なくとも我々の認識ではそうだ。
そちらが黙認しているということは、もはや交渉する気がないと見て、
こちらも手を打たせてもらう」
言いたいことだけ言うと電話を切った。
ファーストとしてはオーソドクスが検非違使を消してくれれば、
煩わしい選択をしないですむと踏んだのだろうが、
そう簡単に連中の思惑通りには運ばせない。
「ネイティブアメリカンの巫女(メディスンマン)たちが
よく護ってくれてるようですけど…」
ヒヒイロカネの弾丸が詰まったグロッグ17の予備弾層を確認しながら、
多少は霊感のある萌が言う。
やはり人ならざるものも来ているというわけか…。
私にはそういう能力がないだけにどうしようもない。
どうしようもないので、
結繪たち弾正府から紹介されたシャーマンを3人の力を信じるしかない。
同じリムジンに同乗している彼女たちは、
先ほどから何事かつぶやきながらトランス状態に入っている。
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彼女らも弾正府の葛葉さまたちのようなあやかしと契約しているそうだ。
「まあ、向こうもバカじゃない。
こちらが出したサインに気づくさ」
とそこへローゼンバーグから電話が掛かってくる。
「やってくれたな…」
「なんの用だ? 我々の要求は拒否されたんだろう?」
「ラビたちはバチカンを通じてAOCを押さえる。
アララトに派兵はできないが、
そちらも南米を焼いたんだから譲歩してもらおう」
「南米? ああ、人工衛星のことか? 
あれは旧フランスの老朽化した衛星が、
落下軌道にはいったものだと聞いている。
コロンビアに落ちるそうだが、
麻薬王たちもブツを持ち出す暇はないだろうが、急いで逃げれば
人的被害はでないんだろう? よかったな」
「……合意したということでいいんだな?」
「結構だ…」
ツ―――。
これでジ・オンリーとセカンドが静観するという保障ができた。
あとは放っておいてもザ・ラストが
オーソドクス教会の本拠地アララト山に侵攻するだろう。
「薫子会長、銃声が…」
気がつけば銃声も途絶え、
巫女達も呪文の詠唱を止めている。
「これで当初の目的は達成できたわけだ。
襲撃してくれたおかげでコカイン畑も焼けたしな」
ジ・オンリーもセカンドのどちらも認めないだろうが、
端から見れば、同じ神を信奉する者同士のお家騒動のようなもの。
お互いで解決してくれるのが一番ありがたい。
先頭の破損した1台はその場に残し、残りの5台でケネディ空港へ向かう。
車列がマンハッタンから出るウィリアムズバーグ橋にさしかかったとき、
南側で聞いたこともないような激しい爆発音が聞こえ、
周りが急に明るくなり…。
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