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「二楽亭へようこそ!」その63 第7話 「決戦前夜」第二章 ネゴシエーション その1 [小説]

翌週――私はニューヨーク・マンハッタンにいた。
ミッドタウンで第二契約者の代理、
バチカンのアンブロシアーノ銀行の面々との会議を終え、
特別機を駐機してある
ケネディ空港へ向かう6台の黒いベントレー。
前後を護られるようにして走るリムジン仕様の車中に私と桂木萌はいた。
萌と一緒に住んでいる瑞葉も、かわいいので是非連れて来たかったのだが、
狐のあやかしである彼女は、
日本を覆っている結界から出ることがかなわないめに断念せざるを得なかった。
今は弾正府の姉たちの元に戻っている。
「ミスター・ローゼンバーグは、
第一契約者のラビたちを説得できるでしょうか?」
会議に同席していた萌が
先方のTOPで第一契約者の代理も兼ねる男=ローゼンバーグが
終始不機嫌な表情でいたのを心配して聞いてきた。
「こちらの出した条件を飲まなければ、
日本政府はイラクへの円借款を停止した上、
南米のコカイン畑を衛星から焼くと脅したんだ。せざるを得んだろう…」
後部座席.jpg
あまり知られていないが、
第一契約者が南米に持つコカインのネットワーク=販路は
全世界に張り巡らされており、
北米にしかルートを持たないイタリア系マフィアのそれを凌いでいる。
「…コカイン畑は…」
最近は日本にも麻薬汚染が広がっていることを萌は気にしているんだろう。
交渉の結果、コカイン畑が残ることが問題だと思っているんだろうが、
このあたりは非情さに欠ける。
太極から見れば欠点だが、人としては信用できる。
「…それはどちらにしろ焼くさ」
第一契約者、いや唯一神に選ばれた選民を任じる「ジ・オンリー」の指導者たちに、
我々検非違使が、
つまり日本政府が本気だということを見せるいい機会だし、
実行できればシンジケートの体力を確実に殺(そ)げる。
「今回の結果が上々なら、ザ・ラストたちとの交渉は必要なくなる…」
車列はウィリアムズバーグ橋を渡るために
ローワーイーストサイドに差し掛かる。
「第3契約者ですか?」
「あー、萌。学校ではそう教えるけど、
連中は神との契約は自分達で打ち止めだと思ってるので、
せめて最終契約者ぐらいにしといてくれ」
「え? あ、は、はいっ。スミマセンっ!」
さすが武家が統べる文部科学省の教育の成果というべきか、
ストレートに訳したモノを子供に教えてしまうし、
教えられた方も当然鵜呑みにするので、トラブルのもとだ。
もう少し相手の感情に配慮した訳し方をしてから教えるようにしてくれ--、
そう思って苦笑した瞬間、先頭を走っていた護衛の車が
バランスを崩してスピンした。

第2章 その2につづく
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