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「二楽亭へようこそ」その55 第6話「-暗闘-青木ヶ原樹海」第4章 その5 [小説]

音音と三狼にこっちへ来るように呼び掛け、
「まだ成功したことないけど、
アレを使うしか手がないよ…」
と呟くように言うと、ふたりともコクリと頷いた。
アレというのは、
私たち3人の打ち込みを1点に集中させることで剣圧を上昇させ
10メートル四方の敵を切り刻み、なぎ倒すというもの。
いま3人で練習していて、
威力はなかなかなんだけど、自分達も巻き込まれてしまうので、
まだまだ改良の必要のある技。
普段からその練習の様子を見ていた葛葉ねえさまが反対する。
「無理です! 木刀での練習ですら
成功したことないのに、
真剣使ってタイミングが少しでもずれたら、
三人ともずたずたになってしまいます」
「でも、今やらなきゃ、
みんなずたずたにされちゃいますわ」
そう笑いながら言う音音に三狼が頷く。
さっすが私の幼なじみ。
「ね、だからお願い。ねえさま、力をかして …」
そう言ってジッと目を見ると、
「――仕方ないのです。
私と静葉ちゃんでできるかぎり護るのです」
全力でフォローさせていただくのです」
と言ってくれた。
ホントは自信がない――なんて言えない。
なんとしてでも止めて見せる。
そんな思いで連中の前に立ちはだかる。
「按針! 私たちが相手になります! 勝負なさい!」
と叫んで前に出ると、
「やっとお出ましか、弾正尹」
そう言いながら按針が前に出てきた。
「我らが鉄壁の布陣の前に、
これ以上富士に近づくこともできまい。
ここで湘南火山帯が再噴火するさまを
指をくわえてみておるがよい」
「ふざけないで!
その前におまえたちを倒して止めてみせる!」
「座興には丁度よい――」
そう言うとゆっくりと刀を抜く按針。
「あやつの剣は、
柳生宗矩(むねのり)直伝の新陰流。
気をつけるのです~」
ヴォスネンスキー鬼兵団を炎の壁で抑え込みながら、
葛葉ねえさまが教えてくれる。
按針が剣を構えた途端、
その剣先が大きくなり、按針の姿は剣に飲み込まれるようにして見えなくなる。
「なんて圧力…」
呻くように音音がつぶやく。
「そちらから来ぬなら、こちらから参ろう…」
そう言うといきなり跳躍した按針。
その鋭い切っ先が襲い掛かってくるのをかろうじてよけたけど、
続けざまに襲ってくる刃(やいば)に防戦一方になる。
「ほう、わしと3合以上も打ち合うとはたいしたものだ。
だがこれならどうかな?」
今度は脇差の鯉口を左手で切りながら抜刀すると、
その勢いのまま切りつけてくる。
二刀流!? 右の長刀を捌(さば)くのが精一杯で
突いてくる左の刃を避け切れない!
(斬られる!)
そう思った瞬間、ガキンという音がして、
音音と三狼が両脇から助けに入った。
「ふたりとも、行くよっ!」
三狼の合図で一斉に飛び退く。
10メートルほど距離を取ったところで、
3人同時に按針に向かってジャンプして、
按針めがけて上段から刀を振り下ろす。
この必殺技さえ決まればっ!!
そう思った瞬間、按針は刀を素早く鞘に収めると、
両腕で円を描くような動きしたかと思うと、
3本の刀の重なる1点を両手のひらで包むようにして押さえ込んでしまう。
siraha.JPG
あまりの出来事に驚く私たちたちを刀ごと横に投げ飛ばした。
「これがお主たちの隠し玉か? 笑止!
我が無刀取りの前には児戯にも等しい」
「無刀取り!?」
「3本まとめてなんてありえませんわ…」
素手の按針に
私たちの必殺技が全然通じないなんて…。
いったいどうすればいいの??
混乱する私の方へ
笑いながら近づいてくる按針が、
再び抜きはなった大刀を構えた。
「結繪ちゃんっ!!」
タチアナたちに足止めされて近づけない葛葉ねえさまの
悲鳴にも似た叫びか聞こえる。
(ごめん、みんな、私、このまま何もできずに…)
「弾正尹、お覚悟…」
そう言った按針の動きが急に止まった。

その56につづく
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