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「二楽亭へようこそ」 その53 第6話「-暗闘-青木ヶ原樹海」第4章 その3 [小説]

「こうなったら、按針を捕らえて、
連中の居所を言わせるしかない…」
それしか思いつかない私に音音がつっこむ。
「それで万が一実行部隊を倒せたとしても、
また富士を狙われたら同じことの繰り返し…。
対処療法にしかならいですわ」
「そんなこと言ってる場合じゃ……」
音音の言ってることはわかる。
でも、今は…。
「超法規的行動--」
私たちのそばでジッと会話話を聞いていた瑞葉が
ぼそっと呟いた。
「瑞葉、危ないから後ろに下がってて!
鬼裂! 瑞葉をお願い!」
己の本体である刀を鞘から抜きはなった鬼裂が、
私から瑞葉の手を受け取る。
「承(うけたまわ)ろう」
瑞葉鬼裂.jpg
「音音!」
鬼裂の答えを聞くと、
傍らにいた音音に声を掛けながら子狐丸を抜くと天に向ける。
「もう、ねえさまたちに来てもらうしかないっ!」
頷いた音音も愛刀・狐ガ崎を抜き
地面に向け、
「本体真如住空理……」
と稲荷心経をとなえはじめる。
私も、
「かけまくもかしこき稲荷大神の大前に、
かしこみかしこみももうさく…」
と稲荷祝詞(のりと)をあげていく。
すると、中空から忽然(こつぜん)とふたりが現れ、
私たちの横に降り立った。
「結繪、音音、
途中、瑞葉から心話で聞いて
だいたいの状況は了解しています。
私たちが来たからにはもう好き勝手はさせないのです」
「我らの膝元での騒ぎは許しませんわ!」
静葉ねえさまが敵に声を投げると、
あざ笑うように按針が答える。
「ふん、我らとて、ご辺らが来ること位は織り込み済みよ。
フロイスどの、グラバーどの、八雲どの、
合力(ごうりき)お願い申す!」
「心得た!」
手に思い思いの武器を持ち、
呼ばれた連中とその配下が取り囲むようにして姿を現す。
修道服に身を包んだフロイスは、同じよう修道僧を従え、
グラバーはおそろいの鍔広帽に黒づくめの時代がかった洋服を来た一団、
そして八雲の背後には例の変態合唱団が控えている。
「フロイスとグラバー? 普遍派と抵抗者が仲良く宗旨替えされたのか?」
と葛葉ねえさまがイヤミを言うと、
「宗旨替えもなにも、主は唯一の主。
そのお力で蘇った我らが主にお仕えするのは当然であろう?
つまり私の存在こそがっ! 間違いなくっっ! 
神のいるあかしなのだよ! すべては神のおおせのままにっ!!」
とフロイスが答える。
この人は私でもさすがに知っている。
戦国時代に信長の傍にいたイスパニアの宣教師だ。
キメ台詞は『アテブレーベ オブリガード』
(ポルトガル語で”また会いましょう、ありがとうございました”)。
もう一人は幕末に長崎にいたイギリス商人。
前に見たドラマで俳優の福山くん演じる龍馬が
蒸気船借りるのに頭下げてたヤツだ。
ふたりとも口だけじゃなく、実際強い--。
弾正府の生徒たちでは全然止められない。
三狼と殺鬼だけが辛うじて私たちのいる本営への侵攻を防いでいる。
音音が詳しい状況をねえさまふたりに話している。
「十三部衆に非常招集を掛けてあります。
弾正府の守りに四部、
残り九部がこちらに向かってるハズですわ。
一時間だけ持ちこたえてくださいませ」
「雑魚どもはともかく、按針どもはなかなか厄介ですが、
なんとかしましょう」
と静葉ねえさまが言うと、
「まずは八雲から抑えます--ふたりとも宜しい?」
そう葛葉ねえさまが私たちに言い、
ふたりはおもむろに祭文を上げ始めた。
一瞬動きの止まった八雲へ音音とふたりで殺到しようとすると、
更に新手が現れ八雲と私たちの間に立ちはだかった。

第4章 その4につづく
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moe

K-koさん おはようございます。
nice! ありがとうございます。
by moe (2010-09-28 06:55) 

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