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「二楽亭へようこそ」 その52 第6話「-暗闘-青木ヶ原樹海」第4章 その2 [小説]

富士山に近付くほど、
何か嫌な気がわだかまっているような感じがする。
急に悪寒が走り、
バスを止めさせたのは山中湖脇の東富士五湖道路を走っているときだった。
バスを降りると、
ゴォォーーーという地鳴りのような音がかすかに聞こえる。
「これって、富士山が…」
振り向くと音音が頷いて、
狼部、虎部、鷲部の生徒を中心に部隊編成の指示を出し始める。
一般生徒を1台のバスにまとめて送り帰すと、
東名、第二東名、中央など高速自動車道をはじめ、
富士近辺の主要道路の封鎖を政府へ依頼している。
やっぱりこの地鳴り、富士山噴火の前兆なのかな?
万が一富士山が噴火したらどうなるんだろう。
前に観たテレビでは、岩が飛んできたり、
関東一円に火山灰が降り積もったりして
電車や自動車も使えなくなるって言ってた。
極東教会の連中が
どんな手を使って噴火させようとしてるのかわからないけど、
なんとかして止めなくちゃ大変なことになっちゃうよ…。
あれこれ思い悩んでいると、瑞葉が近付いてきて、
「このままだと富士山が爆発する」
と言ってきた。
「分かってるけど…」
「問題なのは、富士火山帯に連なる
湘南火山帯の活動が誘発される可能性が高いということ」
そう言う瑞葉の表情はかなり深刻な状況を示しているけど、
ん? しょうなんかざんたいって言った?
「湘南火山帯? なんですのそれ?」
聞いていた音音がびっくりして質問する。
私はともかく音音が知らないなんて珍しい。
「噴火口痕が見つからないので、
現世(うつしよ)では、ずっと幻と言われてる火山帯。
富士から三浦半島に向かって伸びてる。
幽冥界では、これが刺激されないように
富士山が噴火するたびに
多くの妖たちがその力で押さえ込んできた…」
そんな火山帯があったなんて
全然しらなかった…。
「それも鎌倉にある
異界への入り口を守るためですわね…」
「そう…。でも、今の時代、妖たちは幽冥界へ去り、
私たちだけでは抑えきれない…」
「え? じゃあ極東教会の狙いって…」
「湘南火山帯の活動誘発して、
弾正府を鎌倉ごと排除することですわ」
その一言を受け取るように、
「よくぞ、我らの謀(はかりごと)に気づかれた」
聞きなれない声が言う。
「誰!? 出てきなさい!!」
樹海の中から陰々と響いてくる男の声に
音音が怒鳴りつける。
「まあ、気づいたところで止める術はないでしょうが…」
そう言いながらのっそりと現れたのは、
以前弾正府を襲撃してきたひとり、三浦按針だった。
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「ここから先は通さんし、
盟友ヤンの仇(あだ)も取らせてもらう。
三浦按針、参る!」
言いながら地を蹴り、前衛の生徒たちを蹴散らしながら
私たちのいる方へ肉薄してくる。

第4章 その3につづく
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