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「二楽亭へようこそ」 その51 第6話「-暗闘-青木ヶ原樹海」第4章その1 [小説]

第4章

でも、なんでこんなところに極東教会が…。
富士山へ向かう私たちを狙ったというよりは
これ以上先に行かせたくないって感じだったけど…。
そう考えているところへ、音音が声を掛けてくる。
「幸い怪我人は殆ど軽症でしたので、
欠員はございません。
全員乗り込めば準備完了ですわ!」
こんなことがあったのにこのまま富士登山する気?
「…ちょっ…」
と音音に声を掛けようとした私に、
「瑞葉と萌も行く…」
と後ろから瑞葉に声を掛けられた。
今は、ふたりのことよりも音音と話さないと…、
そう思った私は、
「はいはい、席はありますから、
私たちのバスへどうぞ」
と言いい、音音のあとを追おうとすると、
「少しよろしいですか?」
今度は瑞葉の後ろにしたがっていた桂木少尉が
話しかけてきた。
「はぁ、どうぞ…」
気はあせるものの、無碍(むげ)にもできない。
桂木少尉が所属している検非違使っていうのは、
本来朝廷の機関なんだけど、
連合軍に日本が占領されたあと、
GHQの指導で武家政権により設立された。
探題という形を取らず、
弾正府と同様に稲村ガ崎高校の内部へ設立したのは、
朝廷を慕う民意に遠慮したからとも言われている。
今の別当=生徒会長飛鳥薫子は
権中納言従三位(ごんのちゅうなごんじゅさんみ)という公卿なのに
武家政権の息が掛かっているともっぱらの噂だ。
薫子.jpg
その直属、稲村ガ崎生徒会の一員な彼女、
桂木少尉も当然武家方だと思わないといけない。
現実の外交を司り、幽冥界という存在が理解出来ない武家政権。
オーソドクス教会は、
数百年ものあいだ膠着(こうちゃく)状態にある、
第三契約者やイ・ム教徒との争闘に
幽冥界を手にいれることで、終止符を打とうとしている。
そのために日本へ侵攻しようとしている尖兵極東教会との戦いで、
武家政権に足を引っ張られたくない……。
そんな思いが表情にでたのか、
「私はスパイなんかしないですから…」
と言われてしまった。
「今日は突然おじゃまして失礼しました。
瑞葉ちゃんが、どうも星回りが悪いから
どうしてもついて行くと言うので、
バスのトランクルームに勝手に乗せていただきました」
瑞葉の話では、
富士山に異変の兆候が出ているんだという。
今日、富士山に行くことをねえさま方から聞いていた瑞葉は、
検非違使と弾正府の確執を知っていたらしく、
何事もなければトランクルームから出るつもりもなかったらしい。
確かにスパイするつもりなら様子を見ていればいいわけだし、
さっきは危ないところを助けてもらった訳だし…。
一方的な噂を信じて、先入観で萌をスパイかもしれないと思ってしまったのは
明らかに私の判断ミスだ。
飛鳥薫子についてもそう。
実際に会ってみないといけないと思った。
そういえば私、萌にお礼を言うの忘れてた!
「疑ってごめん、それからさっきは助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「ここからは私が招待するね。楽しんでって。
星回りからするともしかしてトラブルかもしれないけど。
そのときはまたさっきみたいに助けてね」
「はい♪」
(--瑞葉の話からすると、
やっぱり富士山に行ってみるしかないか…)
そう考えながら、バスに乗り込んで
改めて萌と瑞葉を紹介する。
「私の友人で、瑞葉のパートナー、桂木少尉萌だ。
富士にいっしょに登ることになった。
よろしくたのむ」
稲村の検非違使だと言うと、
先に乗り込んでいた鬼裂は、なぜか笑顔のまま額に青筋を立て、
女子は複雑な表情をしたけど、
カワイイ女の子ウェルカムな男子にとっては関係ないみたい。
最近彼女に『アンバランスサーカス』なんていう
物騒なあだ名がついたって知っても態度は変わらないのかな?

その52へつづく
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moe

xml_xslさん こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by moe (2010-09-11 21:20) 

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