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「二楽亭へようこそ!」その49 第6話「暗闘-青木ヶ原樹海-」第3章 その5 [小説]

このままなら、間もなく無力化できる--誰もが
そう思ったとき、ヤンが低く呻いたかと思うと、
ヤツの体のあちこちが盛り上げ始める。
「な!? 鬼化!? ヤンも自分の体に
鬼化ウィルスを仕込んで…」
そう思った時には完全に鬼化したヤンが跳躍し、
遠巻きにしていた弾正府の生徒を
その大きな腕を振り回してなぎ倒していく。
「まずい! 下がれ!」
と声をかけながら、音音とふたりでヤンと
生徒の間に割ってはいる。
ヤンの凶暴な腕を衛府拵えの太刀で受けるものの、
受け流すの精一杯だ。
(やっぱり子狐丸じゃないと…)
そのとき衛府の剣がまばゆいばかりの光を放った。
「な、なんだ…っ!」
その光にたじろいで数十メートルも飛びのくヤン。
そして、
誰かが私の心の中に語りかけてきた。
結繪刀光.jpg
「此方(こなた)の名は鬼裂丸(きさきまる)、
彼方(あなた)の一振りは妹の殺鬼丸(さつきまる)と申す。
伯耆(ほうき)の国の刀工安綱の手になるふた振りじゃ」
え? ふた振りって、刀が語りかけてきてるの?
音音にもこの声が聞こえてるようで、
「安綱って、鬼切丸を作った刀工大原安綱…?」
そう音音がつぶやいた。
それを聞いて、
「お主、よう知っておるのう」
とつぶやいた声の主は、
びっくりしている私たちに構わず、
「酒呑童子の腕を切った鬼切は末の妹じゃ。
渡辺綱に少し力を貸してやったまでのこと。
そなたらには我らが力を貸してやるゆえ
かの鬼を滅するがよかろう」
そう言うと、刀身の光がどんどん眩しくなっていく。
「ほれ、きゃつに向かって振り下ろしてみよ」
そう言われ、音音と私は言われるまま刀を振り下ろしてみる。
振り下ろした刀身の先から光がほとばしり
そのままヤンの体に吸いこまれていく。
「な、なんだこれは…」
うめくヤンの体が光の玉に包まれたかと思うと、
光の玉がはじけ、
そのあとにはもうヤンの姿はなかった。

第3章 その6につづく
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moe

瀬羅さん こんばんは。
はじめまして。nice! ありがとうございます。
by moe (2010-08-29 17:38) 

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