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「二楽亭へようこそ!」その46 第6話「暗闘--青木ヶ原樹海--」第3章その2 [小説]

慣性の法則にしたがい、
悲鳴とともに多くの生徒がイスから転がり落ちた。
私も音音はさっと立ち上がると周囲を確認する。
すると、
バスの前にひとりの男が照らし出されていた。
(あ、バカ殿みたいなチョン髷(まげ)…ってことは…)
と思っている私の考えを読んだみたいに、
「茶せん髷に日本刀の外国人--
どう考えても極東オーソドクス教会の方ですわね…」
と音音が呟く。
突然飛び出されて、一瞬放心していたドライバーが我に返り、
怒って出て行こうドアを開けたのを見て、
「外に出ちゃダメ!」
と叫びながら、愛刀・子狐丸を掴んだ私。
バスから飛び出すと、音音と三狼もついてくる。
抜刀しようする私と三狼を音音が制すと、
何時の間にか取り出した拡声器で喋り始める。
ねね.JPG
『わたくし、
弾正府のセカンド・弾正忠化野音音(あだしのねね)と申します。
貴公はヤン=ヨーステン殿とお見受けしますが…』
「お初にお目にかかる。いかにも拙者、
ヤン=ヨーステン・ファン・ローデンスタインと申す」
と拡声器に負けない大声で答えてきた。
(うわー、また知らない人………ん? 
でもなんだかちょっと聞いたことあるかも)
と悩んでいると、私の表情から察したのか、
「今から400年ほど前に、
按針(あんじん)のバカといっしょに日本に漂着したオランダ人で、
東京駅の八重洲の地名の由来になった人ですわ」
と音音が耳元で囁いて教えてくれた。
そいえばこの前歴史の授業で教わった気がするけど、
年号と外国の人の名前って憶えられないんだよね…><
音音は、ヤンの方へ向き直ると、
『何のご用か存じませんが、
わたくし、今日の富士登山を楽しみにしておりますの。
このまま大人しく退いていただけると
助かるのですけれど…』
と愛刀・狐ガ崎の柄に利き手とは逆の
左手を載せ攻撃の意志のないことを示しながら言った。
でもでも、これで引き下がってくれるほど
甘い相手じゃないでしょ?
「悪いがここから先へ通すことはできぬ」
ほらぁ、やっぱり……。
まあ、この会話のあいだに、
生徒たちが乗っているバスを後退させられたし…。
「では、実力行使といくしかないようですわね」
そう言って音音が指をぱちんと鳴らすと、
いつの間にか左右から回り込んでいた
音音の護衛=化野家の河童たちが、
おのおのの得物を手にヤンに襲いかかった。
私も気付かない間に配置をすませるなんて、
いつになく本気度が高いぞ、音音。
それだけ富士山に登りたいということなんだろうけど。
だけど、そんな音音の思惑とは関係なく、
ヤンは抜く手も見せず
剣圧だけで河童たちを吹き飛ばしてしまった。

第3章 その3につづく
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moe

xml_xslさん こんばんは。
nice! ありがとうございます。
by moe (2010-08-08 23:47) 

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