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「二楽亭へようこそ」その44 第6話「暗闘--青木ヶ原樹海--」その1 [小説]

第6話「暗闘--青木ヶ原樹海--」
第一章
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官公庁の立ち並ぶ東京・霞ヶ関。
国会にほど近い合同庁舎の一角に天文方はある。
内閣府直属のこの組織は、
”星見”により末来を予想する機関だ。
東京の明るい空では星が見えるわけもないので、
ハワイの昴望遠鏡や、
衛星軌道上に打ち上げた朱雀望遠鏡の
ライブ映像解析を行っている。
「何? 富士山に噴火の兆しが…?」
「はい…今年はただでさえ五黄殺(ごおうさつ)で
天変地異や異変が起こりやすいのに、
この星回りは異常ですよ」
「地震予想連絡会には?」
「問い合わせましたが、
いまのところ変化はないそうです」
「我々だけで判断するわけにはいかない。
首相に天文奏の準備を――」
ふたりの会話を妨げるように、地鳴りのような音が響き
次の瞬間ふたりのいる建物は
忽然と消え去ってしまった。

第2章

「天文方が消失…?」
音音の持ってきた報告に少しびっくりした私。
もともと江戸時代に出来た武家方の組織ということで、
京の陰陽寮も弾正府も、天文方を戦力として
頼りにしてるわけじゃなかった。
ただ、それでも神霊現象に理解が薄い今の中央政府=
武家サイドとの折衝には結構便利だっただけに
弾正府としてはちょっとした痛手になるんだよね。
「やっぱり、極東教会の連中の仕業かな?」
「天文方の入った庁舎ごと根こそぎ無くなったそうです」
「…随分派手にやったね。
じゃあ、今度、政府との折衝はどことすればいいの?」
「静葉ねえさまが安倍本家から聞いた話だと、
文化庁の外局に天文暦道局を新設するようですわ」
「上手く機能してくれるといいんだけどね」
先日、第二契約者たちの襲来で
かなりの戦力をそがれた弾正府としては、
理解できないというだけで、
同じ日本人から足をひっぱられる事態だけは避けたい。
第二契約者=極東オーソドクス教会は
大規模な作戦を展開したばかりで
しばらくは動きがないものと話していただけに
これは大きな誤算かも…。
新たに何か仕掛けてくる前兆かもしれないと思うと、
極東教会に対する警戒のレベルを上げないとまずいだろうなぁ。
「でも天文方なんて、
対極東教会的にはなんの戦力にもならないとこ
つぶすなんて何考えてるんだろ…?」
「そんなことよりも結繪ちゃん!
来月の遠足、富士登山に決定したのですわ!」
自分で言うのもどうかと思うけど、
この私が珍しく真剣に考えてるというのに、
音音が能天気に違う話題をふってくる。
だいたい決定したって言うけど、
去年までの行き先がずーと箱根だったと聞いてたので
音音が富士山に行きたくて
学校の理事会に手を回している可能性が大きい。
「富士山の山頂には、
駿河国一ノ宮富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ)の
奥宮があるのですわ。
富士山頂って測候所とかを除いて、富士宮神社の私有地だってご存知でした?
わたくし、てっきり国有地だとばかり…。
それから、御神体は富士山ですけれど、
主祭神は、浅間大神様と
木花之佐久夜毘売命(コノハナノサクヤビメ)様で--」
やっぱり…。
音音、ああ見えて神社好きなんだよね…。
御朱印帳とかいうスタンプ帳みたいなので
判子押してもらってるし…。
「音音、楽しみなんだね…」
「ええ。もちろん! 日本人なら一度ぐらいは
きちんと自分の足で富士山を登りたいですからー。
結繪ちゃんは楽しみではないのですか?」
できればヘリコプターで行きたいとか思ってるのが本音だけど、
音音が楽しみにしているだけに、
「た、楽しみだよ…」
と答える。今きっと私の笑顔は
少し引きつってるはず…。

第3章につづく
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