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「二楽亭へようこそ」その41 第4話「付喪神といっしょに」その5 [小説]

「き、きゃーっ!」
「どうしました!?」
「お、お尻を撫でられました…」
その撫で方に総毛立つような、
ぞわっとするいやらしさを感じた。
間違いなく痴漢――そう思った私は、
おもむろに制服のポケットから
コンパクトなハンドガン・グロッグ17を取り出した。
銃を構え、目をつぶり、
神経を研ぎ澄まして周囲を探っていく。
478.jpg
いたっ! 
壁際にどす黒い気が淀んでいるのを感じた私は、
その気に向けて続けざまに数発撃ち込む。
目を開けてみると、
そこには鎧武者の甲冑が置いてあるだけで
誰もいない。、
(あれ? もしかして勘違いだった?)
と思ったとき。
その甲冑ががたがたと揺れ始め、
「ぐぎゃ――――っ!」
という悲鳴とともに甲冑は黒い獣に変わってしまった。
その獣はのたうちまわりながら、
「おおお、おまえ!
弾正府の生徒でもないのに
なんでオレだってわかった?」
と叫んだ。
「きゃ――っ! しゃべった!?」
獣がしゃべるなんて、
弾正府っていったいどういうとこなの!!??
「も、もうしわけありません!
この狢(むじな)、ウチの臨時用務員なんですけど、
つぎからつぎへと悪さばかりして…」
と案内してくれている生徒さんが謝ってくれる。
狢さんはその間も、
「いてぇ~! いてぇよ~~!」
と盛んに叫んでいる。
「この銃、ガス圧は上げてあるそうですけど
ゴムスタン弾ですから、すぐに痛くなくなります。
痴漢行為をしたんですから、当然の報いなのです、
丁度良い機会ですから悔い改めてください」
と狢さんに声を掛けると、
「ゴムスタンだぁ?
ゴムの中に金属が入ってるだろ!?
そいつが問題なんだよ。
ヒヒイロカネの弾丸なんてありえねえ…。
日本にはもうない筈の金属だぞ」
と不満をつのらせる。
「? ああ、中心に入っている金属のことですか?
稲村の科学部が、去年盗掘を免れた古墳から
見つかった金属のコピーに成功したらしいんですけど、
ヒヒイロカネっていうんですか?」
「おうよ。ヒヒイロカネ自体が妙な力をもってやがるから、
オレっちみたいな妖(あやかし)としてはやっかいなシロモノなんだよ」
「そうだったんですか…。
殺傷力はないからって言われてたんですけど…。
ごめんなさい…」
「まあ、おわびといっちゃなんだが、
これでカンベンしてやらんこともないな」
と言いながら狢さんは、私のお尻を再び触った。
私の中で何かが切れる音がして、
カバンの中から120発入りの弾薬箱と、
ラインメタルMG3機関銃を取り出すと、
逃げ出そうとする狢さん目がけて引き金を絞る。
こちらは薬莢にガスを詰め込んであるタイプなので
発射音が凄まじい。
すべての弾を撃ちつくし、
ガスの冷気でかかった、うっすらとしたもやがおさまると、
そこにはぼろ雑巾のようなった狢さんがいた。
「女の子の敵は徹底的に排除します!
今度やったら倍の240発でお仕置きなのですよ!」
「ひゃ、ひゃい、すいひゃへんでした」
そう答えるとがっくりとその場に突っ伏した狢さん。
これでこりてくれるといいんですけど…。

こうして私と瑞葉ちゃんのふたりと
付喪神憑きのフィギュアを交えた暮らしが始まり、
瑞葉ちゃんは私のバイト先の喫茶店「胡蝶」の
手伝いもしてくれようになって
看板娘としてすっごくお店に貢献している。
そしてあの狢さんの一件以降、
私のカバンにはグレネードが入ってるだの、
キレると何をするかわからないとかの噂とともに、
「稲村のアンバランスサーカス」という
ありがたくないあだ名をいただくことになったのでした…。

第4話「付喪神といっしょに」おわり
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