So-net無料ブログ作成
検索選択

「二楽亭へようこそ」その38 第4話「付喪神といっしょに」その2 [小説]

「ボクは烏部司(うべのつかさ)熊野小太郎…」
うべ? って言われて検非違使庁で目を通した資料を思い出す。
カラス部って書いて”うべ”、司ってその部門の一番偉い人だ!
「わ、私は稲村ガ崎の桂木少尉ですっ」
と慌てて自己紹介する。
「ふーん、イナムラの検非違使の人なんだ。
――今、執行部は会議中だよ。用なら承(うけたまわ)るけど?」
そう言われて、はっと我に返る。
あの荷物、
さっきびっくりした拍子に投げ出しちゃったんだっけ!
慌てて荷物を探して辺りを見回すと、
廊下の端に転がっていた包みを見つけて拾いあげた。
すると、お札が貼ってあった包みが破けていて、
中から女の子のフィギュアが落っこちた。
その刹那、そのフィギュアがガチャガチャという音をさせながら、
まるで吊り糸で操られているように立ち上がり、
こちらを向くとにっこり笑い、階段を下りて逃げ去ってしまった。
へなへなとその場に座り込んで
ボーゼンと見送る私の横で熊野さんがつぶやいた。
00121.JPG
「あれあれぇ~、中身は付喪神だったのか?」
「つくもがみ?」
「長年人に使われたモノに、強い思念や霊が宿っちゃった
ものだよ。アレの処分が今回のお使いの目的?」
「は、はい」
「じゃ、さっそく退治といきますか」
そう言うと熊野さんはスタスタと歩いてふっと姿を消してしまった。
「えっ!? ちょっと--」
あの人退治するって言ってたけど、
どうするんだろう?
さっきは突然のことで吃驚(びっくり)しちゃったけど、
あのフィギュアからは
不思議と怖いという感じを受けなかった。
(あの子、悪い霊なんかじゃないんじゃ…?
退治されちゃう前に確かめなきゃ――)
そう思った私は、
階下に降りようと立ち上がった。

その3につづく
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0