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「二楽亭へようこそ」その35 「瑞葉が来た日」その5 [小説]

その5
仕方なく音音とふたりで後を追おうとすると、
アンダーパスの暗闇からいきなりぎらりと槍が繰り出された。
ちょっとよけ損なって、制服の一部を切り裂かれる。
「ったくもー、危ないじゃない!」
暗闇に向かって叫ぶと、その暗闇から、
どう見ても落ち武者という、
ボロボロの甲冑をまとった連中がぞろぞろ出てくる。
「音音、なんかいっぱい出てきたよ…」
「鎌倉時代の亡霊のようですね」
「多勢に無勢だけど、この怪異に出会ったのが、
一般人じゃなくて良かったと思うことにする」
「かなり強力な結界を貼ったようです。携帯も使えません」
じゃあ、ふたりで何とかするしか無いわけだ。
繰り出される槍をかわしながら、
踏み込んでは槍の穂先を切り落とし、亡霊を何体か切り倒すが、
暗がりから次から次へと出てくるので切りがない。

音音にもう少し頑張ってと言われたものの、
だんだんと疲れがたまってきて、少しづつ押され始める。
いきなり縄が飛び出してきて、子狐丸を持つ右手にからみつく。
それを外そうとした左手も絡めとられた。
「あ、方陣のスペル間違えましたわ…」
と言う音音の声に振り向くと、
音音もロープでがんじがらめにされて
なんだかエッチなことになっちゃってる。
身動きできずにいる私と音音に亡霊達が殺到して、
制服に手を掛けようとしてる。
「いやぁぁ!!! 三狼っ! 助けてっ!!!」
そう叫んだ刹那、私の服に手を掛けようとした亡霊が、
すごい勢いで吹き飛ばされた。
私の目の前に立ちはだかったのは、鬼だった。
「三狼っ!」
この鬼は私と音音の幼なじみで二狼にいさまの弟三峰三狼。
普段は大人しい高校1年生だけど、
先日鬼化ウィルスに感染し、その力を取り込んで
自在にその力を振るえるようになっていた。
今も鬼化して、うなりを上げて亡霊を威嚇してる。
そこへ、葛葉ねえさまと静葉ねえさまが戻ってきて、縄を解いてくれた。
「葛葉ねえさま! 力かしてくださいっ!! 
このエロ亡霊達をまとめて消してあげる」
興奮してそう言いつのる私に、
葛葉ねねさまたちから意外な返事が帰ってきた。
「結繪ちゃん、ちょっと待って…」
「あの中には私たちの妹がいるの」
「えっ!?」
驚く私を尻目にねえさまたちが、低く呪文の詠唱を始める。
すると、亡霊達がつぎつぎと消えていき、
最後に小さな6歳ぐらいの女の子だけが残された。
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緋袴(ひばかま)を着け、
狐耳ときつねのしっぽを持ったその姿は、
確かにふたりの妹にしか見えなかった。

その6に続く
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