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「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その1 [小説]
「どう、無線は回復した?」
鎌倉の北西、鬼門に位置する鎌倉府立西御門学園は
幼稚舎から大学までの一貫教育で知られていた。
でもその実は、異界への特異点が存在する鎌倉府の治安対策用に、
狐のあやかしに守護された化野家が尹(かみ)として統べる
弾上府が設置されていた。
日本がアメリカ南部連合に併呑(へいどん)されてからは、
周囲を山に囲まれた旧鎌倉に結界を張り、
東の反政府勢力の拠点として抵抗を続けていた。
その間、web上に存在する縦横家(じゅうおうか)と呼ばれる外交策士たちが
アメ連に対抗するための合従(がっしょう)に奔走し、
昨日やっとアラブ連邦、ペルシャ、マハトマ共和国、中華連邦、ユーラシア連邦など
各国の密約を取り付けるにいたって、
本日ついにアメ連に対して反抗作戦を開始していた。
結界をとき、
関東制圧のための部隊を送り出して2時間ほどしたあと、
各所との連絡が取れなくなっていた。
作戦本部がおかれている西御門学園武道棟の司令室で
私のイライラはけっこうなボルテージに達していた。
「いえ、それがまだ…え?…あ…結繪さまっ!
葛葉さまです。いま校庭に葛葉さまが降り立ちました」
「え? 葛葉ねえさま?」
司令室正面の大型モニタに映し出されたのは
巫女服もボロボロな葛葉ねえさまだった。

『ねえさまっ! いったい何が…音音は…しのだの部隊は…』
心話で問いかけると、
『部隊は待ち伏せに遭って苦戦中です~。
どうしても増援が必要な状況なのです。
静葉ちゃんがいれば状況は一変すると思うのです。
でも連絡が取れなくて…。
だから私が静葉ちゃんを呼びにきたのです』
つづく
鎌倉の北西、鬼門に位置する鎌倉府立西御門学園は
幼稚舎から大学までの一貫教育で知られていた。
でもその実は、異界への特異点が存在する鎌倉府の治安対策用に、
狐のあやかしに守護された化野家が尹(かみ)として統べる
弾上府が設置されていた。
日本がアメリカ南部連合に併呑(へいどん)されてからは、
周囲を山に囲まれた旧鎌倉に結界を張り、
東の反政府勢力の拠点として抵抗を続けていた。
その間、web上に存在する縦横家(じゅうおうか)と呼ばれる外交策士たちが
アメ連に対抗するための合従(がっしょう)に奔走し、
昨日やっとアラブ連邦、ペルシャ、マハトマ共和国、中華連邦、ユーラシア連邦など
各国の密約を取り付けるにいたって、
本日ついにアメ連に対して反抗作戦を開始していた。
結界をとき、
関東制圧のための部隊を送り出して2時間ほどしたあと、
各所との連絡が取れなくなっていた。
作戦本部がおかれている西御門学園武道棟の司令室で
私のイライラはけっこうなボルテージに達していた。
「いえ、それがまだ…え?…あ…結繪さまっ!
葛葉さまです。いま校庭に葛葉さまが降り立ちました」
「え? 葛葉ねえさま?」
司令室正面の大型モニタに映し出されたのは
巫女服もボロボロな葛葉ねえさまだった。

『ねえさまっ! いったい何が…音音は…しのだの部隊は…』
心話で問いかけると、
『部隊は待ち伏せに遭って苦戦中です~。
どうしても増援が必要な状況なのです。
静葉ちゃんがいれば状況は一変すると思うのです。
でも連絡が取れなくて…。
だから私が静葉ちゃんを呼びにきたのです』
つづく
「豪快! 両国夢想」第4話「在住奪還作戦」その9 [小説]
ご注意【本文の一部を大幅改変したので、
選集掲載分を改稿して再掲載するのです。ごめんなさいなのです><】
旧自衛隊と弾正府の連合軍が
厚木と横須賀を制圧したと連絡があり、
東京湾上空の制空権が確保されたらしい。
なのに、当の弾上府とは連絡が付かなくなってしまい、
弾正府のナンバー2音音ちゃんが下した判断は、
到着した部隊はそのまま作戦を継続し、
ヴォスネンスキー鬼兵連隊を中心に、
音音ちゃん、瑞葉ちゃん、ネバダと私たち姉弟は
特殊潜航艇シノダの搭載飛空挺で弾正府へ向かうことになった。
「飯綱の珠はなくなったのに私たちも?」
ネバダは仕事だしタチアナたちは戦力になるから分かるけど、
私や在住は、怪しげな力を使う怪狐の前では
足手まといにしかならないんじゃないの?
そう思った私の質問に、
「それはわかりませんが、
細川翁から、そう依頼を承りましたわ」
と答えた音音ちゃんは
ポケットからスマホを取り出してこちらに向け、
私にも電話を出すように促す。

(ほそかわおう? って??)
疑問に思いながら、
スマホを出して音音ちゃんの方に向けると、
赤外線でデータを送ってきた。
「あなたにあったらこれを渡すようにっておっしゃってました」
ほそかわおうって、
当代の弾正尹(だんじょうのかみ)を継いだ那須野家に
執事として勤めている融資(ゆうすけ)おじいさまからのデータなの…?
かあさんは何も言ってなかったってことは、
このことは知らないのかな?
周囲を確認した音音ちゃんは、
赤外線でデータを送り、
「弾上府に付くまでに読むようにとのことです」
と付けくわえた。
<<巫女の未来視では、
飯綱の珠がうしなわれると出たようだ。
今回の作戦後に細川家の血の力が必要になれば
在住が襲われることも考えられるので
在住を護って弾正府に連れてきて欲しい>>
飛空挺の中でおじいちゃんからのメールを思い出す。
子供のころに
細川家の血の力って何?
たとえ由緒ある家柄だとしても、
ただの人間の血にそんな力があるとでもいうの…?
「弾上府の方向から閃光が!
今、黒煙があがりました……」
パイロットの叫び声で我にかえると
飛空挺ががくんと急降下した。
「ジャミングで無線が通じないのはわかるけど
静葉ねえさまと心話で連絡が取れないなんて…」
「音音落ち着くのです。
連絡が取れないのは、妲己(だっき)かあさまが
掌握した神使の狐が小規模な結界を
このあたり一面に張り巡らして心話を邪魔してるかななのです。
それよりも…」
そう言った瑞葉ちゃんは振り向くと、
「まずは弾正府がどうなっているかなのですが、
神使の狐たちはかあさまに掌握されてしまうので使えないのです。
そこでタチアナ、おぬしらの部隊に
ひと働きしてもらわねばならないのです…」
とタチアナに向かって言った。
つづく
選集掲載分を改稿して再掲載するのです。ごめんなさいなのです><】
旧自衛隊と弾正府の連合軍が
厚木と横須賀を制圧したと連絡があり、
東京湾上空の制空権が確保されたらしい。
なのに、当の弾上府とは連絡が付かなくなってしまい、
弾正府のナンバー2音音ちゃんが下した判断は、
到着した部隊はそのまま作戦を継続し、
ヴォスネンスキー鬼兵連隊を中心に、
音音ちゃん、瑞葉ちゃん、ネバダと私たち姉弟は
特殊潜航艇シノダの搭載飛空挺で弾正府へ向かうことになった。
「飯綱の珠はなくなったのに私たちも?」
ネバダは仕事だしタチアナたちは戦力になるから分かるけど、
私や在住は、怪しげな力を使う怪狐の前では
足手まといにしかならないんじゃないの?
そう思った私の質問に、
「それはわかりませんが、
細川翁から、そう依頼を承りましたわ」
と答えた音音ちゃんは
ポケットからスマホを取り出してこちらに向け、
私にも電話を出すように促す。

(ほそかわおう? って??)
疑問に思いながら、
スマホを出して音音ちゃんの方に向けると、
赤外線でデータを送ってきた。
「あなたにあったらこれを渡すようにっておっしゃってました」
ほそかわおうって、
当代の弾正尹(だんじょうのかみ)を継いだ那須野家に
執事として勤めている融資(ゆうすけ)おじいさまからのデータなの…?
かあさんは何も言ってなかったってことは、
このことは知らないのかな?
周囲を確認した音音ちゃんは、
赤外線でデータを送り、
「弾上府に付くまでに読むようにとのことです」
と付けくわえた。
<<巫女の未来視では、
飯綱の珠がうしなわれると出たようだ。
今回の作戦後に細川家の血の力が必要になれば
在住が襲われることも考えられるので
在住を護って弾正府に連れてきて欲しい>>
飛空挺の中でおじいちゃんからのメールを思い出す。
子供のころに
細川家の血の力って何?
たとえ由緒ある家柄だとしても、
ただの人間の血にそんな力があるとでもいうの…?
「弾上府の方向から閃光が!
今、黒煙があがりました……」
パイロットの叫び声で我にかえると
飛空挺ががくんと急降下した。
「ジャミングで無線が通じないのはわかるけど
静葉ねえさまと心話で連絡が取れないなんて…」
「音音落ち着くのです。
連絡が取れないのは、妲己(だっき)かあさまが
掌握した神使の狐が小規模な結界を
このあたり一面に張り巡らして心話を邪魔してるかななのです。
それよりも…」
そう言った瑞葉ちゃんは振り向くと、
「まずは弾正府がどうなっているかなのですが、
神使の狐たちはかあさまに掌握されてしまうので使えないのです。
そこでタチアナ、おぬしらの部隊に
ひと働きしてもらわねばならないのです…」
とタチアナに向かって言った。
つづく
「豪快! 両国夢想」第4話「在住奪還作戦」その8 [小説]
「霊的なモノだし、まあそうだろうな」
化野弾正ナントカ音音と紹介された女の子は、
そうつぶやいたあとくるっと後ろを向くと、
弾正府の船シノダに向かって、
「葛葉ねえさまっ~~!」
といきなり叫んだ。
すると船のほうからふわふわとこっちに向かってなにかが飛んでくる!
長い髪と金色のケモノ耳と複数の尻尾…、
巫女装束に身を包んだ彼女が
弾正府の五尾の狐の葛葉さま…。

妖狐九尾の狐が変化した殺生石から生まれた
3人姉妹の一人だって、
以前かあさんに教えてもらった。
妖狐ではなく善狐に属した、
とても優しい方だとも言ってた。
「はいはい。
飯綱の珠ですね~。
確かに彼から大きな力を感じますので、
あるのは間違いないのです~」
在住の傍(かたわ)らに降り立った葛葉さまは
手をかざして飯綱の珠がどこにあるか探し始める。
「……たぶん、左腕の内側にあるんじゃないかな?
在住、そこになんかあるって気にしてたから…」
前に在住が言ってたことを、ふと思い出した私がいうと、
葛葉さまが在住の左腕を集中して探し始める。
「あ、あったのです~♪」
葛葉さまはそう言うと、そのまま手を在住の腕に当てると、
ずぶずぶと中につっこんでいく。
(心霊手術…こんなこと本当にできるんだ…)
「く…っ…」
在住が少しうめくと同時に静葉さまが珠を掴み出した。
「これが飯綱の珠…あっ!? …これ母様の…」
そう言った直後に珠が金色に輝きはじめ、
光が収まるとすでに葛葉さんの姿が消えていた。
「ね…ねえさま…?」
音音さんが驚いたように呟く。
まったく意外な出来事だったようで、
その場が一瞬騒然とする。
そこに船から猛スピードで飛んできたのは
葛葉さんと同じように巫女服を着ている
ケモノ耳に1本尻尾のツインテールな小学生ぐらいの女の子。
「今、一瞬かあさまの気配がしたけど…
葛葉ねえさまは? 飯綱の珠はどうしたのですか?」
と音音さんにまくし立てた。
「瑞葉…じつは…」
音音さんから、てきぱきと事情を聞いた瑞葉という名の少女巫女は、
しばらく考えたあとに、
「飯綱の珠の正体はかあさまのメモリーで、
葛葉ねえさまが乗っ取られた可能性が高いのですっ!」
と叫ぶと、
「急いで弾上府に戻らないと、
静葉ねえさままで取り込まれたら、
間違いなく妲己(だっき)かあさまが復活してしまうのです!!」
つづく
化野弾正ナントカ音音と紹介された女の子は、
そうつぶやいたあとくるっと後ろを向くと、
弾正府の船シノダに向かって、
「葛葉ねえさまっ~~!」
といきなり叫んだ。
すると船のほうからふわふわとこっちに向かってなにかが飛んでくる!
長い髪と金色のケモノ耳と複数の尻尾…、
巫女装束に身を包んだ彼女が
弾正府の五尾の狐の葛葉さま…。

妖狐九尾の狐が変化した殺生石から生まれた
3人姉妹の一人だって、
以前かあさんに教えてもらった。
妖狐ではなく善狐に属した、
とても優しい方だとも言ってた。
「はいはい。
飯綱の珠ですね~。
確かに彼から大きな力を感じますので、
あるのは間違いないのです~」
在住の傍(かたわ)らに降り立った葛葉さまは
手をかざして飯綱の珠がどこにあるか探し始める。
「……たぶん、左腕の内側にあるんじゃないかな?
在住、そこになんかあるって気にしてたから…」
前に在住が言ってたことを、ふと思い出した私がいうと、
葛葉さまが在住の左腕を集中して探し始める。
「あ、あったのです~♪」
葛葉さまはそう言うと、そのまま手を在住の腕に当てると、
ずぶずぶと中につっこんでいく。
(心霊手術…こんなこと本当にできるんだ…)
「く…っ…」
在住が少しうめくと同時に静葉さまが珠を掴み出した。
「これが飯綱の珠…あっ!? …これ母様の…」
そう言った直後に珠が金色に輝きはじめ、
光が収まるとすでに葛葉さんの姿が消えていた。
「ね…ねえさま…?」
音音さんが驚いたように呟く。
まったく意外な出来事だったようで、
その場が一瞬騒然とする。
そこに船から猛スピードで飛んできたのは
葛葉さんと同じように巫女服を着ている
ケモノ耳に1本尻尾のツインテールな小学生ぐらいの女の子。
「今、一瞬かあさまの気配がしたけど…
葛葉ねえさまは? 飯綱の珠はどうしたのですか?」
と音音さんにまくし立てた。
「瑞葉…じつは…」
音音さんから、てきぱきと事情を聞いた瑞葉という名の少女巫女は、
しばらく考えたあとに、
「飯綱の珠の正体はかあさまのメモリーで、
葛葉ねえさまが乗っ取られた可能性が高いのですっ!」
と叫ぶと、
「急いで弾上府に戻らないと、
静葉ねえさままで取り込まれたら、
間違いなく妲己(だっき)かあさまが復活してしまうのです!!」
つづく
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